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「白塚診療所ツバメ日記」     医師 井岡大義


5月13日〜6月24日(日曜日) 日記その1へ

6月26日
 朝7時の時点では、巣の中の4羽は同じ状態でした。7時30分に見ると、1羽が結界の綱にとまっているではありませんか。大丈夫かなとハラハラしながら観察を続けていますと、親ツバメが1度巣に餌を運びました。次の親が綱の上の子ツバメに餌をやり、誘うような仕草をして飛び去りました。

 その時です、急に綱の上の子ツバメが体を乗り出したかと思うと飛び出しました。一瞬落ちたかとヒヤッとしましたが、上手に飛び去りました。本当に感激しました。目の前で巣立つのを観察できたのです。
 もう目が離せずに見ていますと、次に親ツバメが餌を持ってきた時、それについていくかのように又1羽飛び立ちました。残りの2羽はもぞもぞしていましたが、親ツバメがいないのに突然一緒に飛び立ちました。7時40分でした。
 その後5分程して、餌をくわえた親が1羽現れ、巣を覗き、周辺を飛び回りながら綱にとまったりしていましたが、急に巣にはいりこみ(ヒナがかえってからは一度も巣にはいるのを見ていません)、餌を飲み込みながら巣を懐かしむようにとまっていましたが、しばらくして飛び立ちました。その後、1羽も還ってきませんでした。

 ツバメの巣立ちを目撃できて満足です。今回は私に合わせて巣立ってくれたようです。結論を言いますと、シュロ縄の結界が効果あったようです。巣の前面が消失して、ヒナの体がもろにさらされたわけですから結界がなかったら簡単にカラスから落とされていたと思います。来年も結界を張ってお手伝いするつもりですが、まめに巣を補修してくれる夫婦が来てくれることを祈るばかりです。

 以上、「白塚診療所ツバメ日記」でした。こんなに観察できるなんて、なんて暇なわたしでしょう。


 大変です!ツバメが帰ってきました。「ツバメ日記」は終了できません。

 この晩のことです。夕食をして午後6時40分頃、診療所に戻ると、夜勤の助産婦からツバメが帰っているみたいと聞かされました。私同様、ツバメのことを気にかけてくれていた、入院中の前川さんのご主人が報告してくれたそうです。

 早速見に行きました。1羽結界の綱にとまっていました。そのうち、ワーッとツバメの群が現れてとまったり飛び回ったりしていました。4羽が1区画に、1羽が1区画にとまりました。すると周囲を飛び回っていた3羽(3羽と見えましたが2羽だったかもしれません)が、とまっているツバメに乗りかかるような、背中をつつくようなちょっかいをだしました。まるで、「飛べよ」と催促しているようでした。

 とまっているツバメ達はピーピー鳴きながら、「ほっといてくれよ、近寄らないで」と抵抗しているようでした。再三の催促のあげく、1区画に独立していた1羽(24日に先に巣立った長男と思うのですが)が、仕方なさそうに7時5分に飛び立ちました。
 残りの4羽は、かたまってとまっていました。その後、1羽だけが(多分長男と想像しますが)何度も飛んで来ては、背中をつついたりちょっかいして、ピーピー反抗されてを繰り返し、飛んでいってはとまったりしていましたが、7時15分にいなくなりました。7時5分以降に飛び回ったのは、この長男とおぼしき1羽だけでした。

 巣立ったものがどうしようと関係ないじゃないかと一度は観察を中止しました。しかし、気になって7時半に確認しましたら、4羽はかたまって、1羽が離れてとまり、寝ているようでした。

 この観察で私には全てがわかりました。多分7時半段階で結界にとまっていた5羽は巣立った5羽だろうということ、そして親ツバメは「巣立ったら自然環境で過ごせよ」と子ツバメに催促し、早く巣立った長男は仕方なく従ったが、弟妹が言うことをきかないため自分も戻ったというところでしょう。
 いずれにせよ、結界が、戻れる場所を提供したようです。5年前は、戻りませんでしたし、小さな巣にとまれるはずもありません。今日は巣立ちと、帰還を目撃できた記念すべき日になりました。


6月27日
 
朝4時半に確認しましたら、4羽だけがくっつきあってとまり寝ていました。長男の姿は見えませんでした。4時45分には3羽でした。起きて羽づくろいしたりしていましたが、2羽が同じ綱に、1羽が別の綱にとまっていました。4時55分には皆飛び立って1羽もいませんでした。

 あの4羽は、結界をねぐらにするのか、お兄ちゃんと仲良くできるのか、又、親子の断絶はどうなるのか、ツバメ達が南に飛び去るまで私の心配の種はつきそうにありません。

 6月27日夜7時、またツバメ達は帰ってきました。昨日のように4羽と長男、親との同じ様な駆け引きはありましたが、昨日より短時間で親は諦めて去り、長男はしばらく未練ありげでしたが、同じように飛び去り、4羽だけ残りました。昨夜あまり寝ていなかったので(2件お産がありました)、後は夜勤のスタッフにまかせて帰宅しました。

20:00 結界に1羽(私には1羽だけ見えた)とまっている
     辺りには見あたらず

20:30 かわらず1羽

22:30 同じ場所に1羽うずくまるような感じ(ねているのか?)

6月28日

 0:10 同じ場所で動かない

         (以上、助産婦 市川)

 5:10 誰もいず

         (助産婦 星野)

 一昨日からのことを考えてみました。最初は、餌をたくさん貰い大事にされた長男と親に対して残りの4羽がすねて反発しているのかと思いました(食い物の恨みは恐ろしいから)。しかし、昨夜は1羽だけになったところをみると、発達の遅いものが住み慣れた場所を去りがたいのではと思えるのです。

 実は4羽の中でも特に餌を貰うのが下手なドジな子がいて、体も明らかに小さいのがいました。その子が多分昨夜の1羽だったと思います。私の推測が正しければ、そろそろ結界に戻るツバメはいなくなると思うのですが!

6月29
 
やはり私の推測が当たりました。準夜の上野さん、深夜の永井さんの報告によると、昨夜も今朝も1羽もとまっていませんでした。ただ、昨夕6時半頃、結界近くを1羽飛んでいるのを見かけただけだそうです。完全に子ツバメ達は巣立ったみたいです。これで、ツバメを守る、私達の任務をやっと終了することが出来ました。メデタシ、メデタシ。

 これをもって、今年の「白塚診療所ツバメ日誌」は閉じさせて頂きます。

        2001年6月29日

                     井岡 大義


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